壁打ち

感想、考察、日記、メモ等

20230422(廃墟ゲーのターゲット層とは)

Homesickをプレイし始めた。RPGほどの長尺ではないと思うけれど、そのうち感想を書くかも。不穏な感じがする(ゲームの面白さは◎だが、内包する要素が…)。

 

steamの評価が微妙(それでも「やや好評」だが…steamの評価グレードをあまり知らないので微妙な分類に入るんだろうか。「圧倒的に」「非常に」「やや」とか…)だが、

廃墟探索ゲームは評価が微妙になりやすい気がする。

 

 

僕の好きなゲームの一つに「FRAGILE~さよなら月の廃墟~」があるのだが(リマスターしてほしい、切実に)、これも好みが分かれていた。知人や推しの絵描きさんが知っていたり好きだと言ってくれて嬉しかったくらい、ボロクソに言われるときはボロクソに言われていた。

個人的になぜそうなってしまったのか考えると、(ゲームシステム的なものもあったかもしれないが)想定されたプレイヤー層と、実際にビジュアルや広告を見て興味を持つ層が微妙にズレていたのではないかと思う。

 

 

廃墟探索系ゲームで気を付けなければならないのは、そこにほぼ確実にホラー要素が入ってくることだ。廃墟はなるべくして廃墟に、人間がかつていた場所だが打ち捨てられて滅びゆく場所になったのだから、そこに流れるバックボーンはほの暗い。

(戦争後の荒廃した世界で…とかは、滅んだ後に人類が街やコミュニティを再興している場合が多いので、治安は悪くても「誰かがまだその場所を使っている」点でホラー感は少ない。「人がいない場所に自分が立たされる」ことがホラー度を上げる。)

 

 

また、グロテスクな描写等の「ゾーニングがはっきり明示されたタイプの恐怖」が無く、悪夢やトラウマ的な描写等の「ゾーニングが曖昧なタイプの恐怖」を含む場合はパッケージや広告等に注意書きが明記されないことがある。

そこで不幸にも、不意打ちで不快な思いをしてしまったプレイヤーが一定数いると「思ってたのと違う」という評価になってしまう……。

 

廃墟マニアなら多分、実在する廃墟の色々な画像・廃墟に至るまでの歴史的背景・様々な事情…等々、「廃墟に至るまでのパターン」がなんとなくわかってくると思う。

そういう廃墟マニアがフィクションとして「実際の廃墟らしい」ゲームにした場合、製作する側が考える以上にプレイヤーに未知の恐怖感や生々しさを与える可能性があるのではないか。どこまでがトラウマ表現であるか、という感覚自体がズレてくるというか…

 

架空の廃墟イメージしかない人(廃墟のライト層)が、ノスタルジーを求めていて、でもホラーは嫌だという場合……ホラー表記が無いから、と廃墟ゲーを安心して手にするのは若干危ない。

(制作陣やプレイヤーが悪いという話ではなく、単純に怖い思いをする可能性が高いという意味です…)

 

現実世界で廃墟に入るとなると、「私有地に許可なく侵入する」法的な制約、「誰かがそこを使用している場合があり、何らかの被害を受ける可能性がある」治安的な制約、「長年放置された壁や床、家具や落ちている物品の耐久性や衛生面が不明である」安全的な制約がある。

そういう制約から解放されて、じっくりと廃墟を見て回れれば…そういう気持ちのある人(廃墟のディープ層)は廃墟マニア作の廃墟ゲーを気に入ると思う。

 

 

廃墟探索をテーマにしたゲームの場合、ライト層とディープ層両方を取り込もうとするのは難しいだろうなと思う。

Homesickはディープめだと思うのですが、果たして…

 

ちなみにライト層には『星のカービィディスカバリー』をオススメしたい。「誰かがかつて居たが、今は打ち捨てられている廃墟」としても成立している丁寧な造形、かつカービィワドルディ、敵がそこに住み着いて(?)いるのでホラー的な恐怖に晒されることはない(不穏描写が紛れてたりもするけれど)。

 

 

余談ですが、以前テレ東で「廃墟の休日」という番組をやっていた(面白かったです)。ロケで廃墟に入れるのはいいなあ。当然ですが経年劣化するので、年々侵入可能エリアが狭まっている場所もあるようだし。

でもそこで取り上げられていた所はやはり有名どころの場所で、それなりに整備されていたりする。日々朽ちてゆく場所だと考えると、やっぱりリアルで廃墟に行く行為自体、危険でハードルが高いのだろう。

 

成仏できなかったら、廃墟を巡ろうかな。

 

以上です。